この記事を読んでいるあなたは、いわゆる「30歳前後の転職適齢期」を過ぎて、IT業界への転職や配置換えを考えている方だと思います。ITに強くなることが良いのではないかと考え、リスキリングしたいけれども、ITネイティブの世代と一緒に仕事をしてついていくことはできるのだろうか、と不安を抱いていることと思います。でもそんな転職適齢期を過ぎるまで1つの業界に集中して働いてきたとしたら?私はアラフォーで情報システムの部署に異動しました。そんな私が考えている「最強のメリット」について、解説していきます。
最強のメリットとは、「転職や配置換え前の業務を理解していること」
システムエンジニアとして設計書を書くために必要な知識として、お客さまの業界を理解していることが非常に大切になります。実を言うとお客さまからシステムを作ってくださいと言われたからと言って、その要望通りに設計書を作成しても、満足いただけないことがあります。最悪の場合、大金をかけて作ったのに新しいシステムは使われることはなく、次の仕事はもらえない、などということになりかねません。
なぜ満足いただけないような状況が発生するかというと、お客さまの業務に対する理解不足により、「本当のソリューション」を提供できなかったからです。お客さまの言葉を鵜呑みにしてシステム開発を進めるとどのようなことが起こり得るかというと、
- お客さまが問題だと考えている点に注目するあまり、本質的な問題が見えてこない
- ユーザ業務モデルの作成を失敗してしまう
確かに、お客さまの要望通りにすることは大切なのですが、よくよくお話を伺ってみると問題の発生箇所が別なところにあったなどということが多々あります。その問題に気がつかないままシステム開発を進めていざ導入してみると、今までの仕事にさらに作業が増えるだけで使いにくくてしょうがないということになるわけです。
では、この最強メリットを活かすことで何ができるのかというと、お客さまに自分の経験をもとにした「提案」ができます。お客さまの業務はこのような流れで行われていると把握しておりますので、この点を解決することによって業務の流れがズムーズになり、結果としてお客さまがおっしゃられている問題も解決できるのではないでしょうか、といった具合にです。こういったコミュニケーションを取ることができれば、お客さまや職場の同僚から信頼を得たり、システム開発を成功に導いたりすることにつながるわけです。
最強メリットの身につけ方
しかし、長く同じ業界で働いていたからと言って、最強メリットが身につくかというとそうではないかもしれません。パナソニックコネクトの樋口社長は
20代~30代は専門性を身につけ、自分の強みとなる領域を作ることが大切だ。これは洞察力と比較による他の領域の理解につながる。他の職を経験するのは専門性を身につけてからでも遅くない。
とおっしゃられています。若い時に希望の部署とは違うところに配属され、それでも腐らずつらい時期を乗り越えた方だからこその言葉だと思います。私は、このまま接客をしていても自分の成長は望めないのではないかという思いから、どこか仕事に打ち込むことはできていなかったかもしれません。そのため、勉強してみても表面的な知識しか得られなかったり、実際の業務場面で活かすことができなかったり、という散々な結果に終わっていました。専門性を身につけたと言えるくらい一生懸命仕事するべきだったのではないかと反省しています。この記事を読んでいるあなたはこのような後悔をしないような社会人人生を送ることを願っています。
私の場合、配置換えにより業界を替えましたので、会社を辞めるというリスクを取っておりません。その意味で転職を考えている方の背中を押す、ということはできません。ただ、あなたがこれからやりたいと思っていることにたいして、今までの経験が役に立たないなどということは決してないということを申し上げたいのです。
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